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オープンダイアローグの可能性

不登校、引きこもりの治療の第一人者の斎藤環先生のお話を3回にわたってまとめてみました。

斎藤先生はこのシンプルな方法が、思いもかけず効果を上げていることにとても興味を持ったそうです。
そして、「統合失調症のような難しい病気が良くなるのだから、不登校や引きこもりにも効果があるのではないか。」と考えられたそうです。

そして、チームを組んで対応することで、個人でやるカウンセリングよりもスキルを磨く必要がない、つまり少しトレーニングを積めば誰でもできる、ということも言われました。一対一では難しい暴言や暴力などへの対応も、チームであればかなりやりやすくなります。

「侍学園のようなところでは、とても受け入れやすい方法だと思う」とも言われました。
サムガク、期待されていますね(笑)。

この一年私が見た中でも、学園ではミーティングや一対一の対話や、様々なダイアローグ(対話)を使って生徒に対応しています。
オープンダイアローグをやる素地は十分に出来ている気がします。

これから、どんな形で取り入れていくことになるのか、楽しみです。

また、本来のオープンダイアローグの対象は精神的な病気ですが、こちらも日本でどのように広がっていくのか、気になるところです。
薬物治療が主流で、「いかに向精神薬を組み合わせていくか」というところを磨いておられる精神科の先生方に、この方法が果たして受け入れられるものだろうか?
医師、看護師、心理士などの間にあるヒエラルキー(階級)がそんなに簡単に無くなるものだろうか?
そもそも、システムとして出来上がってしまった日本の精神医療が、変わることができるのだろうか?

などと考え始めると・・・うーん・・・難しい・・・。(T_T)

多分、斎藤環先生も同じように考えているのかもしれないな、と思いました。
だから、まず不登校や引きこもりの分野で実績を積み上げていくのがいいのかもしれません。

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オープンダイアローグ その3

実際に「オープンダイアローグ」を始める時に注意する点をまとめてみます。

まず、一番大切なことは、本人のことは本人のいないところでは決めないということです。
薬物治療や入院するかしないかなどの治療に関するあらゆる決定は、本人を含む全員が出席した上でなされます。スタッフ限定のミーティングは一切なされません。

そして、治療チームの中で治療者は対等です。医師が上で看護師は下というような序列はありません。
したがって、お互いを○○さんと呼びます。

司会者ではなく、ファシリテーターを置きます。

対話の目的は「変えること、治すこと、決定することではありません。」
「対話を続けること、広げること、深めること」が目的です。

治療ミーティングは「開かれた質問」から始めます。
はじめに、「この場では何をしゃべってもいいです。」
そして、「この時間をどのように使いましょうか。」「何から話したいですか。」といった質問をします。

質問はできるだけ「はい、いいえ」で答えにくい質問をします。全員が発言しやすいように気を付けます。

相手の話をよく聞き、自分の話もきちんと言います。「ポリフォニー」多くの声が響きあうことが大切です。

リフレクティングについて
患者や家族の訴えを聞いた後で、専門家の間で意見交換をします。
その時の状況は、患者と家族が、専門家同士で話し合うのを「透明な壁ごしに聞いている」というイメージです。

リフレクティングが終わったら、感想を聞きます。

しめくくりは丁寧に行います。決まったこと、何も決まらなかったら決まらなかったということを確認します。
そして、次回のことを話します。


オープンダイアローグ その2

オープンダイアローグには7つの原則があります。

1 即時対応
前回も書いたように、連絡が来てから24時間以内にチームを立ち上げて対応すること。
これは、危機が起こった時の最初の数日が重要だからだそうです。

2 社会的ネットワークの視点を持つ
クライアント、家族、つながりのある人をミーティングに招く。
クライシスはクライアントを取り巻く人々との関わりの中で起きているから。
ただし、誰を招くかは、本人の同意にもとづく。

3 柔軟性と機動性
その時その時のニーズに合わせてどこででも、何にでも、柔軟に対応する。
スタッフの都合に合わせた一般的なプログラムは使わない。

4 責任を持つこと
治療チームは必要な支援全体に責任を持って関わる。
他の機関の支援が必要な時も、そこにクライアントをまわすのではなく、その人たちをミーティングに招いて、共に対話する。

5 心理的連続性
クライアントをよく知っている同じ治療チームが、最初からずっと続けて対応する。

6 不確実性に耐える
答えのない不確かな状況に耐える。
結論を急がない。すぐに解決したくなる気持ちを手放す。
葛藤や相違があったとしても、その場にいる人々の多様な声を共存させ続ける。

7 対話主義
対話を続けることを目的とし、多様な声に耳を傾け続ける。
対話することは何かの手段ではなく、それ自体が目的であり、解決はその先に現れるものである。


この中でも特に重要なのが、「6 不確実性に耐える」 と 「7 対話主義」の二つです。
これはオープンダイアローグの根幹をなすものだそうです。

グループでの話し合いでも「不確実性に耐える」ということは難しい、という意見が出ました。
多くの人は話し合いをして、意見を戦わせて、合意を得ていったり、結論を出したりすることには慣れていますが、それをしてはならない、となると、なんとも落ち着かない気持ちになるのではないでしょうか。

そして、「対話主義」とは、斎藤先生の仰るには「価値観の交換」だそうです。
「私はこう思う」と言うことはいいが、相手を説得しようとしてはいけない。
相手の言うことも、「ああ、あなたはそう思っているんですね」と受け止める。
不思議なことに、そうやって対話を繰り返していくうちに、考えの擦り合わせが自然に起こってくるそうです。



オープンダイアローグ その1

先日、私の勤め先の侍学園(通称サムガク)で職員対象の研修会がありました。

今回は「斎藤環先生のオープンダイアローグ」でした。

斎藤環先生といえば、引きこもり治療の第一人者です。
なかなかお会いできる方ではありません。
サムガクの理事長の長岡さんはすごく人脈が広くて、引きこもりに関わる会合等で知り合った斎藤先生をお呼びしたようです。

とてもリッチな研修会。そして「オープンダイアローグ」とはどのようなものか、報告を兼ねてまとめてみます。

オープンダイアローグというのは訳すと「開かれた対話」
フィンランドで行われている、統合失調症に対する家族療法的なアプローチです。
この治療によって、服薬や入院なしで統合失調症が治るという治療法です。

「精神科の医師の間では了解事項として、統合失調症には薬物療法をしないと絶対に良くならない、というものがあります。」
「だから最初、私は信じられませんでした。しかし実際に勉強して患者さんにやってみたところ、速やかに改善して、私は激しいショックを受けました。」と斎藤先生は話されました。

では実際にどうやって患者さんにアプローチしていくのでしょうか。

まず、病院に「来てほしい」という連絡が入ると、24時間以内にスタッフたちがそのお宅に行きます。
スタッフは医師、臨床心理士、看護師などが多いですが、特に資格がなくてもいいのだそうです。
そして、チームで患者さん本人や家族とお話をします。
必要があれば、毎日のようにお話をします。

これだけのことです。ところが、このとてもシンプルな手法が非常に高い効果を上げるのだそうです。

興奮していた患者さんやオロオロしていた家族のかたは、次第に落ち着いてきて、入院も服薬もなしに改善していくんだそうです。
具体的には入院治療期間は平均19日間短縮され、通常の治療と比較して、服薬を必要とした患者さんは全体の35%、しかも再発率は24%(対照群は71%)に抑えられているそうです。


そもそも、フィンランドの北部は統合失調症になる人が多くて、ケロプダス公立病院は患者数がとても多くて医療費がかかっていたそうです。
これは医療費を削減するために考え出された方法なのだそうです。

ではもう少し具体的に、どんな所に気を付けて会話を重ねていくか、について次回お話しましょう。



「ライスワーク」という考え方

私が勤めている「侍学園 スクオーラ イマジン」というフリースクールは、不登校や引きこもり、学校は出たけれども就職でうまくいかなくなってしまった、といった「生きづらさを抱える若者」の自立支援をしています。

私はパートの「給食のおばちやん」ですので、それだけやっていればいいとは思うのですが、性分なのか、好奇心旺盛で、スタッフ会議などにも顔を出しております。

そういう時に「どうぞどうぞ」と入れてくれるスタッフさんに感謝ですね。
生徒もスタッフもパートのおばちゃんも対等な感じです。

そこで聞いて「なるほど!」と思った言葉が「ライスワーク」でした。

見ての通り、「食べるためにする仕事」ということです。

この学校には、かなり高学歴の生徒がやってきます。

A君は有名私立大に入学したのですが、人間関係に疲れて心を病んで引きこもっていたそうです。
2年くらい引きこもった後、お母さんがたまたまテレビでこの学園のことを放送しているのを見て、息子に勧めて入学しました。

彼は2年間通ったあと、元気を取り戻して実家に戻りました。
ところが、就職したらまた体調を崩してしまったそうです。

学園に戻った彼を、スタッフも生徒たちも暖かく迎えました。
そして、ゆっくりと「自分自身と向き合う時間」を保証しました。

やがて彼は少しずつ動き出し、学園の近くの店にアルバイトに出られるようになりました。
仕事はいたってシンプルな作業でした。
そこで彼はひとつの気づきを得ます。

「こういう仕事でいいんだ。脳みそをフル回転させて、必死でやる仕事だけが仕事ではないんだ。」


とても頭脳明晰な彼は、自分に自信があったのでしょうね。
「山月記」に書かれている李徴のように「自ら恃むところ頗る厚かった」のではないでしょうか。

その彼が、肩の力を抜いて生きることに気が付いたのです。

「この学園で友人を作るつもりはない」と言っていた彼が、ふざけあったり、悩みを話したりする友人を何人か作って、そして実家に戻って行きました。

ライスワーク・・私自身も食べるために仕事をしてきました。
その中で自分なりに考えたり、こうしたほうがいいかな、と思うことをやってきました。
いつの間にかその仕事が好きになってきました。

「好きなことを仕事にしたい」「夢を叶えたい」と多くの人は願うのですが、そうそう上手くいくものではありません。
ではうまくいかなかったら、人生おしまいなのでしょうか?

大丈夫、また落ちたら落ちたように生きる

彼は元気に「第二の故郷」上田を後にしていきました。


プロフィール

poco a poco

Author:poco a poco
加賀瀬みどりです。愛知県出身の60歳です。上田に家を建てて20年近く。高校の講師を19年間続けてきました。2015年7月より上田市内で「子育てカウンセリングルーム」を開設しました。自分の家族の体験から栄養の大切さに気づき、「栄養療法」の勉強を続けてきました。この勉強はかれこれ9年になります。今までの考え方を覆すような驚きの連続でした。勉強したことを生かして、子育てに悩むお母さんがたの手助けをしたいと思っています。

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